旅先でその土地の鉄道に乗るのってワクワクしませんか。
地元の人と観光客が入り交じり、さまざまな声が聞こえ、そこにしかない空気が流れている。広大な北海道を旅するにも、鉄道はおすすめしたい交通手段の一つです。
ですが北海道ではここ数年、人口減少や地域の過疎化による廃線が相次いでいます。
役目を終えて歴史に幕を下ろした鉄道の数々。もう乗ることは叶いませんが、鉄道が走っていた場所が新しい観光スポットとして注目を集めています。
今回はJR留萌本線 留萌-増毛(ましけ)間の跡地を訪ねようと、増毛町に足を運びました。
約100年前の駅舎を復元。
観光拠点となった「旧増毛駅」
札幌からバスで約2時間15分。北海道北西部に位置する増毛町は、漁業を中心に栄えてきた道北随一の歴史ある町です。
最初に訪れたのは旧増毛駅。大正10(1921)年に開通したJR留萌本線 留萌-増毛間の終着駅だった場所で、貨物輸送や町民の玄関口として利用されるほか、数々の映画の舞台にもなりました。鉄道は平成28(2016)年12月に惜しまれつつも廃線となりましたが、それから約1年半後の平成30(2018)年4月、開通当時の駅舎を復元する工事を実施。当時の大きさを忠実に再現し、外観や内装は昔の雰囲気を漂わせる仕上がりにしたことで、鉄道ファンをはじめ多くの観光客でにぎわう観光スポットの一つとなりました。
敷地内にはプラットホームや駅名標が残されており、列車止めから約100メートルほど続く線路の上は自由に歩くことができます。ある程度進むと雑草が生い茂っているものの、留萌方面へと延びる線路の近くに立入禁止の看板はなく、どこまででも歩いていけそうな気分に。すっかり錆びついた線路のあちこちで花を咲かせる、たくましくも美しい植物に目を奪われました。