応援メッセージから生まれたカップ酒。
その名も「落ち着いたら、乾杯しよう。」
旭川市にある酒蔵・男山株式会社が5月7日に発売したカップ酒「落ち着いたら、乾杯しよう。」。まさに自粛生活が続く今だからこそ生まれた商品です。これが商品名?と思うのも当然で、実はもともと旭川市内で配布されているフリーペーパーに掲載された広告のキャッチコピーでした。
国や自治体からの外出自粛要請により、数多くの歓迎会や飲み会が中止・延期となった今春。「不要不急の商品を提供する企業として、それぞれの立場でがんばっているすべての人たちを少しでも元気づけるお手伝いがしたい。少しでも前向きなメッセージをお客さまにお届けしたい。そんな思いを込めています」。こう話すのは、取材に応じてくださった企画課の金森徹諭(かなもり てつゆ)さん。
大雪山を模した背景の空を“夜明け”のイメージで描き、この夜が明けるようにいつか必ずコロナ危機も収束すると願いを込めたラベルに、思いの強さを表すような存在感を放つ商品名。発売当初から「勇気づけられた」、「周りの人に配りたい」と大きな反響があり、金森さんは「少しでもお客さまのお役に立てたようでうれしいです」と話します。対面での乾杯は難しくなりましたが、一方でオンライン飲み会のニーズが高まったこともあり、自宅で気軽に飲める一合サイズなのも、この商品が人気となった理由でしょう。
中身は定番商品の「男山」(佳撰)。アルコール分15度、日常酒として飲食店はもちろん一般家庭でも親しまれている日本酒です。口に含むと穏やかな甘い香りが広がり、透明さを感じるような爽やかな風味を過ぎると、しっかりとした旨味がからだじゅうにじんわり染み渡る感覚に。キリッと冷やして飲みたい一本です。
味の根幹はラベルにも描かれている大雪山の伏流水。そこへ旭川の厳しい寒さと厳選された原料米を合わせることで、自然の恵みを活かした日本酒が生まれるといいます。
お供にいただいたのは、極上の醸造米を使用した「蔵おこし」。甘さ控えめ、サクサク軽い食感であっという間に食べてしまいそう。こちらは残念ながら、酒蔵に併設された男山酒造り資料館の限定商品。旭川へ行った際にぜひお試しください。
江戸時代から続く名酒を、現代へと受け継ぐ
男山株式会社の歴史は、前身である山崎酒造が1887年に創業したことから始まりました。江戸時代、兵庫県伊丹市にて「木綿屋」の屋号を掲げ、酒造りを行っていた山本三右衛門という人物が、京都府にある「男山八幡宮」から名を取って生み出したお酒が「男山」。御免酒と呼ばれる江戸幕府の官用酒であり、伝統芸能にも描かれるほどの人気を誇ったといいます。もっと良い酒を造りたいと考えていた山崎酒造は1968年、木綿屋より男山を正統継承し、名酒の味を現代へと受け継いでいます。
今回の新型コロナウイルス感染拡大により料飲店の営業が制限され、男山の出荷量も激減。このままいくと次年度の仕込み量にも大きな打撃となり、酒米を作る農家の方々にも影響が出てしまうと話す金森さん。これを機にこれまで日本酒に馴染みのなかった人にも飲んでもらえる商品を検討中とのことですが、まずは男山ファン、日本酒好きの皆さんに味わってほしい「落ち着いたら、乾杯しよう。」、期間限定商品なのでお早めに。オンラインショップから購入可能です。
苦しい状況が続く一方で、3月より蔵元限定で販売している「復古酒搾り酒粕の甘酒」は人気のあまり即完売。現在製造中で、6月末に再販売する予定だそうです。
最後に、ご紹介した「落ち着いたら、乾杯しよう。」以外のおすすめ品を金森さんに聞きました。
「6月12日に新発売となるスパークリング日本酒です。道産米を100%使用し、甘口仕上げながらもシュワシュワと弾けて爽快感があるので、これからの季節にピッタリです。軽量で持ち運びに便利なスリムボトル缶なので、手土産にもどうぞ。」
本来ならば現地へ足を運び、直接お話しをお伺いできれば良かったのですが、世情をふまえ今回はリモート取材となりました。けれど一人でも多くの方を元気づけたい、自分たちにできることをしたいという、金森さんをはじめとした男山株式会社の皆さんの熱意が、商品を通して十分に伝わってきました。おうちでの乾杯にぜひ、そして、落ち着いたら対面で乾杯しましょう。
TEL 0166-47-7080
旭川駅から車で約20分
営業時間
男山酒造り資料館 9時〜17時
酒蔵開放(2月第2日曜日) 10時〜15時
定休日 年末年始(12/31、1/1〜3)