そんな依田さん夫妻のライフスタイルと読書の森は、自然やアートを愛する人々の共感を呼び、徐々に地域に根付いていきました。
「どうらくオルガン」がつないだ縁
読書の森が“アートフィールド”として多くの人に認知されるようになったきっかけは、ある楽器でした。
それは、絵本作家田島征三さんと音楽家松本雅隆さんが2012年の越後妻有トリエンナーレ「大地の芸術祭」に出展した作品「どうらくオルガン」です。


以前から、松本雅隆さんが率いる「ロバの音楽座」のワークショップが毎年読書の森で行われていた縁もあり、芸術祭の会期が終了すると、オルガンの移設先にいち早く名乗り出た雄さん。2013年に大勢の人の協力を得て、新潟県十日町からの移設を実現。
その奇想天外な楽器は人々を引きつけ、近年は国内外のアーティストも多く訪れるようになっています。

海外からのゲストが教えてくれたこと
アートや自然を愛する人たちの拠り所として、ゲストハウスの運営にも力を入れ始めた依田さん夫妻。コロナウイルスの影響が出る以前は、読書の森のゲストの大半は外国人だったといいます。
「外国人を受け入れるに当たって、地域の人たちの反応はどうかなと思ってたんだけど、全然心配なかったですね。おじちゃんおばちゃんたちは、外国人のお客さんが道を歩いていると、日本語でどんどん話しかけて野菜をくれたり、ジェスチャーでいいコミュニケーションが取れていて、いなかの人の温かさとか、ローカルの魅力が伝わっていると思います」

ゲストハウスを運営する依田さん夫妻の楽しみは、ゲストと食事をともにする時間だといいます。自家栽培の野菜を使ったヘルシーでボリューム満点の恵さんの料理は、ベジタリアンも含め、外国人客にも大好評(コロナウイルス対策のため、現在、ゲストハウス利用者の食事は1回1組限定)。

「一緒にご飯を食べると、言葉が喋れないなりにもコミュニケーションが取れるし、外国の話もいろいろ聞けて楽しいですね。お客さんも東京で泊まったときには、誰とも話をしなかったからと喜んでもらったり」と恵さん。
さらに、6年前からは留学生や外国人のツーリストに日本のお盆を楽しんでもらおうと“インターナショナル盆踊りフェスタ&イマ市”を企画。雄さんが作詞した「どうらく音頭」の生演奏に合わせて国内外のツーリストが交流する一夜は、今や読書の森の夏の風物詩になっています。

コロナの影響で今年は開催できなかったものの、“これからもこのお祭りを通して国際交流を続けていきたい”と願う依田さん夫妻。
お二人のチャーミングな笑顔の奥に宿るクリエイティブ魂が、この森の創造力の源だと感じました。

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地域の人と出会い、そこに流れる時間を楽しみ、なにかを創造する“into the local”な旅へ。
次はあなたも出かけてみてはいかがでしょう。

長野県小諸市大字山浦5179-1
TEL 0267-25-6393
しなの鉄道小諸駅下車 徒歩約40分、タクシー等で約15分
営業時間 10:00〜18:30ぐらい
ほとんど無休
