沖縄だからできる味噌。
本土の、ある県で、味噌蔵を継いだ知人がいる。発酵に詳しい友人がいる。彼らと一緒に、那覇市首里にある玉那覇味噌醤油(以下、玉那覇味噌と記します)を一緒に見学させてもらったとき、彼らがまず驚いていたのが、蔵全体が麹室状態であることだった。
亜熱帯気候である沖縄は、年間を通して、味噌づくりで重要な麹にとっての最適な温度がたもてるため、季節を問わず仕込みができる。しかも本土よりも短い期間で熟成される独特の環境。それが沖縄の味噌づくりなんだと思った。
また、玉那覇味噌がある首里に生まれ育った知人は、ある食事の席で「玉那覇の味噌を使わないと、この味はでないんだ」。そんな声を耳にしたことがあるそうだ。琉球王朝にも献上されていたという歴史をもち、その地で暮らす人にとっては欠くことのできない味。ほかに替えの効かない、唯一無二の存在。それが今回、紹介する玉那覇味噌の無添加・天然醸造味噌。
味づくりに欠かせない作りの「ミソ」。
王家にも愛され、いまも多くの人から支持を受ける味には、いくつかのポイントとなるいわゆる「ミソ」が存在する。
たとえば、素材。大豆、米、島マース(塩)、麦のみを使用し、すべて手作りでつくられている。
豆えらびも重要なポイント(ミソ!)のひとつ。丸大豆を用いて、塩とともに加え、よく混ぜ合わせ、木樽で熟成(=天然醸造)させた「生きている」味噌を作っている。だから、店頭で並んでいるいるうちにすこしずつ熟成し、出荷時よりも、色が濃くなり、味がさらにまろやかになることもある。
そのため、玉那覇味噌を愛用し続けている人のなかには、そうした商品を探し出して買い求める人もいるんだとか。もちろん、そのまま熟成させていくのもありだが、お好みの熟成状態になったときに、冷蔵庫にいれて保存することで、その状態が長く維持することができるそう。
戦禍をくぐり抜けてきた味。
味といえば、玉那覇味噌の味噌蔵がもつ、昔ながら風合いや佇まいに惹かれる人もいる。SNSなどでも丸に囲まれた「玉」の字を中心に、醤油と記された白壁を見かけることがある。ただ、工場があるのは首里。戦争中は、首里城に日本軍の司令部が置かれたこともあり、その攻撃の対象は、首里城のそばにあり、また、大きな煙突をもっていた玉那覇味噌も例外ではありません。
工場は崩壊。ただ、発火を免れることができ、柱や梁を敷地内の防空壕で大切に保管することができたそう。そして、戦後は、その柱を使って工場を再建。柱や梁に住み着いた麹菌を失うことなく、昔ながらの玉那覇の味を再現することができ、いまにつながっているそう。
全メニュー、玉那覇味噌使用
「味噌めしやまるたま」。
まずは味わってみたい。そう思われた方におすすめしたいのが、沖縄県庁のちかくにある「味噌めしやまるたま」。全メニューに玉那覇味噌が使われており、味噌の楽しみ方、味わい方って、こんなにあったのか!と驚きながら舌鼓をうつことまちがいなし。
また、遠方の方にもうれしい通販サイトもあります。ぜひ、お試しを。
味噌めしやまるたま(通販サイトもこちらから)
写真提供:味噌めしやまるたま